「クレーの絵本」
作・絵:パウル・クレー
訳:谷川俊太郎
合計点:13.19(2023年9月現在)
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出版社:講談社 1,760円
ISBN9784062078245
「クレーの絵本」の注目ポイント
- クレーの40点の絵と、谷川俊太郎の14編の詩が奏でる二重奏
- 色彩と言葉が心に響く詩画集
- 日本図書館教会選定図書 販売数16万部以上!
「クレーの絵本」はこんな人にオススメ
- 大事な人にプレゼントしたい絵本。
- 絵画が好きな人・クレーの絵画が好きな人。
- 谷川俊太郎が好きな人、詩画集が好きな人。
「クレーの絵本」のあらすじ
【本文引用】「忘れっぽい天使」
繰り返すこと
繰り返し繰り返すこと
そこに現れてくるものに支えられ消え去っていくものに苛立って生きてきた
忘れっぽい天使が友達
彼は微笑みながら裏切り
すぐ微風に紛れてしまう歌で慰める
ああそうだったのかと
全てが腑に落ちて死んでゆくことができるだろうか
爽やかな諦めのうちに
ある晴れた朝
ありたちは気忙しく行き来し彼方の海でいるかどもは跳ね回る
「黄金の魚」
大きな魚は大きな口で中位の魚を食べ
中位の魚は小さな魚を食べ小さな魚はもっと小さいさな魚を食べ
命は命を生贄として光り輝く
幸せは不幸せを養いとして花を開く
どんな喜びの深い海も一粒の涙が溶けていないということはない 【本文引用ここまで】
パウル・クレー(1979−1940)40点の絵と14編の谷川俊太郎が言葉を添えた詩画集。
同じ絵や詩を、見る時期や気持ちの状態で同じ思いを感じることがなく、自分の心のリトマス試験紙のような絵本です。
クレーは、スイス出身で表現主義、キュービズム、シュルレアリスムなどの影響を受けていると言われています。
抽象化、象徴性、実験のユニークな組み合わせの作品が多く、色彩がとても綺麗な作品が多いです。
swissinfo.chのインタビューで、谷川俊太郎はこう答えています。
当然いろんな、インスピレーションっていうか、クレーの発している波動にこっちが感応している共振しているということが当然あると思うんですよね。
それがインスピレーションかどうか…。ぼくの場合、絵からくるものではないんですよね。
意識下からくるものだから。もし、クレーの絵からインスピレーションを受けているとしたら、一旦クレーの絵が自分の意識下になんかの形で降りていって、それと自分の意識下のなにかが感応して、もう一遍出て来たものであり、直接的なインスピレーションということはないと思います。
https://www.swissinfo.ch/より引用
二人の偉大なる芸術家の魂のコラボをぜひ楽しんでほしい1冊です。
監修者(絵本アドバイザーいぶき)「クレーの絵本」の見どころ解説
毎回本を開く度に、印象に残る言葉が違う、不思議な絵本です。ちなみに、今回私は
幸せは不幸せを養いとして花を開く
どんな喜びの深い海も一粒の涙が溶けていないということはない
という言葉と「黄金の魚」の作品が一番印象的でした。
そもそも、パウル・クレーが描く「黄金の魚」という作品が好きというのもあるのですが、谷川さんの詩を読むと 当たり前のように存在している自分自身が、決して当たり前じゃないと思わせてくれるこの作品が好きです。
こうゆう詩画集がもっと広がればいいなと思います。