「Life ライフ」
作 くすのきしげのり
絵 松本春野
合計点:14.02 (2022年5月現在)
ehonnavi
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出版社:瑞雲舎 1,430円
ISBN9784907613051
注目ポイント
- リユースできるお店の物語
- 人と人、モノとモノの「群像劇」
- 優しいタッチのイラストに癒される
「Life ライフ」はこんな人にオススメ
- 元気が欲しい人。
- 大切な人を亡くした人。
- 前向きな気持ちになりたい人。
「Life ライフ」のあらすじ
小さな町はずれに、その店はあります。店といっても誰かが働いているわけでも、何かを売っているわけでもありません。
でも、この店には品物がおいてありますし、お客もやってくるのです。
店の名前は「Life(ライフ)」お客は、「ライフ」をのぞいて、必要なものや気に入ったものがあれば持って帰ります。
そのかわり、自分が使わなくなったものや、誰かに使ってもらいたいものを置いていくのです。こんなふうに・・・。
冷たい風が吹いた日です。一人のおばあさんが、「ライフ」にやってきました。
「おじいさんは、花を育てることが大好きでした。おじいさんが用意していた春に咲く花の種です」というメッセージカードを添えて、 お婆さんは、持ってきた小さな紙の袋を、棚に並べました。
お婆さんは、突然一人ぼっちになった悲しみに、花を育てる気にも慣れなかったのです。
お婆さんは、おじいさんと二人で「ライフ」にきていた楽しかった日々のことを思い出すと、また寂しさがこみ上げてきました。
小さくため息をつき、帰ろうとしたお婆さんは、ドアの蕎麦rに置かれてあった写真立てに目を止めました。
写真立てには、「想いでは いつまでも」というメッセージカードが添えられています。
お婆さんは、そっと写真立てを手にとりました。
男の子が、「ライフ」にやってきました。男の子は、店の中を興味深そうに眺めて歩きました。男の子は、お婆さんのメッセージカードを見つけると、 花の種が入った紙の袋を一つ手に取りました。
今年こそは、お父さんやお母さんに手伝って貰わないで、花を育ててみたいと思っていたからです。
男の子は、表示の裏に書いた自分の名前を確かめると、「すごく楽しくて、覚えちゃった。僕も大切に読んだよ。」というメッセージカードと一緒に、 絵本を本棚におきました。この絵本は、男の子が小さかった頃、おじいちゃんが、「ライフ」から持って帰って来てくれたものでした。
(中略)
春になりました。お婆さんが、夏に咲く花の種を持って、「ライフ」にやってきました。
お婆さんの心は、まだ悲しみに沈んだままでした。
小さくため息をつきながら、お婆さんがドアを変えたその時です。
お婆さんは、息を飲みました。それはまるで、おじいさんの花畑に立ったようでした。
溢れんばかりに花が咲いているそれぞれの植木鉢には、メッセージカードが添えられています。
おじいさんの花の種を持って帰った人が、育てて咲かせた花を、一鉢、二鉢と持ってきたのです。
お婆さんが悲しみに沈んでいる間にも、冬は過ぎ、春は来ていました。
花の中に腰を下ろし、しばらく花とメッセージカードを見つめていたおばあさんの心に、次第に、暖かな明るい風が吹いてきました。
作者のコメントにも「人生」ということを考えたとき、それは、「人が生きる」ということだけでなく、それぞれの時間の流れの中で、人と関わりあいながら、生きることであり、言い換えれば、「人は(生かされながら)生きている」とある。
それぞれの「人生」の一コマとそれぞれの人との繋がりが描かれた、心温まる作品です。