「たまごのはなし」
作・絵しおたにまみこ
合計点:13.64(2022年7月現在)
ehonnavi
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出版社:ブロンズ新社 1,100円
ISBN9784893096838
「たまごのはなし」の注目ポイント
- MOE絵本屋さん大賞第2位
- TSUTAYAえほん大賞2位
- プラチスラバ世界絵本原画展金牌
「たまごのはなし」はこんな人にオススメ
- ブラックユーモアが好きな人。
- 哲学的な深みを感じたい人。
- アーノルド・ローベルの世界観が好きな人。
「たまごのはなし」のあらすじ
【本文引用】やあ こんにちわ。私は卵。今から、私の話をするからね。よく聞いておくんだよ。
私はね、随分長いことキッチンでじっと動かずにただ転がっていたと思うんだ。
他の卵たちよりずっと長く。
でも本当のところはわからない。だってその間、私は何にも考えていなかったんだんだからさ。
何にも考えていない時は、見ているものも見えていないし、聞いているものも聞こえていない。
だから「そんな気がしてる」ってだけなんだけれど、転がっていすぎた、と、思うんだ。
そして、ある日突然思った。
「どうして私はいつまでもこんな風に転がっているんだろう」って。
だから、立ち上がってみたんだよ。思っていたより簡単だった。
次はぴょんぴょん飛んでみた。気持ちがよかったよ。最後はくるっと回ってみた。とてもいい感じだった。
【本文引用ここまで】
ずっとキッチンで動かず転がっていた卵、突然いつまでも転がっている自分に疑問を感じ、立ち上がります。
意外と簡単に立ち上がれたので、他の卵にも教えてあげようと思いますが、目を開かない卵は、素晴らしい世界を見ることなく、ひび割れてしまいます。 卵は脆いので、今度はマシュマロのところへ行くことにしました。
理由は、マシュマロならふわふわしていて、とっても柔らかそうだから。 ナイフで袋を破ったり、摘んだりしたけど、マシュマロは一向に起きません。
なので、卵はマシュマロを一口齧りました。すると「なんでかじるのさ?」と一つのマシュマロが目覚めます。 ここから、卵とマシュマロの大冒険が始まります。
キッチンの外へお散歩に出かけた卵とマシュマロ。
キッチンから降りると、キッチンがいかに狭かったのか気づきます。「目を覚ましたら」「散歩」「雨の日」の3つのお話からできている、この絵本。卵とマシュマロが冒険する中で、自分が考えていることは、話さなければ伝わらないこと、文句ばっかり言っているナッツの話など、思わず「なるほど」と思ったり、クスッと笑えたり、クセになります。卵の語り口も面白いので、そこにも注目して読んでほしい1冊です。
監修者(絵本アドバイザーいぶき)「たまごのはなし」の見どころ解説
本屋で卵の表紙を見かけた時、不思議な魅力に惹かれて手に取ったのが、この絵本との出会いでした。鉛筆で描かれている卵やマシュマロたちが、どこか不気味なんだけど、可愛らしい部分もあったりして、思わず世界観に引き込まれてしまう絵本です。 個人的には、アーモンド、カシューナッツ、ピーナッツ、ピーカンナッツが喧嘩しているシーンが好きです。
「君は大きすぎる」とか「平凡すぎる」とか、お互いの文句ばかり言っているナッツたち。それをみたマシュマロは、ナッツごとに分けたら解決するのでは?と思いわけで見たけど、今度は同じナッツ同士で「君はかけてる」とか「形が悪い」とか喧嘩をやめません。
マシュマロが、「君たちは大体おんなじに見えるけどな」というと、ナッツたちは怒ります。
それを聞いた、卵はナッツを全部粉にして蜂蜜をかけて、捏ねて元のナッツの数だけ固めたら、みんな同じで喧嘩がなくなるのでは?と提案します。 そんな卵の提案に、「そんなの、もうナッツじゃないよ」と言うマシュマロ。このシーンがお気に入りです。
ほぼ日で作者のしおたにまみこさんのインタビュー記事が読めるので、そちらもオススメです。
https://www.1101.com/n/s/egg_marshmallow