おじさんのかさ | 作・絵:佐野洋子 | 絵本のあらすじを紹介| 思わずクスッと笑ってしまう

「おじさんのかさ」

作・絵:佐野洋子

合計点:4.39(2025年5月現在)
ehonnavi  4.4
amazon  4.5
楽天books 4.2

出版社:講談社 1,540円
ISBN9784061318809

「おじさんのかさ」の注目ポイント

  • 100万回生きた猫の作者である佐野洋子の作品
  • 厚生省中央児童福祉審議会推薦文化財・全国学校図書館協議会選定図書・日本図書館協会選定図書
  • 自己愛(ナルシシズム)に思わずクスリと笑ってしまいます

「おじさんのかさ」はこんな人にオススメ

  • 雨に日を楽しく過ごしたい人。
  • 言葉遊びなどでクスリと笑いたい人。
  • 一風変わったおじさんの心の変化を楽しみたい人。

「おじさんのかさ」のあらすじ

↓ここから本文引用
おじさんは、とっても立派な傘を持っていました。
黒くて細くて、ぴかぴか光った杖のようでした。
おじさんは、出かける時はいつも、傘を持って出かけました。
少しくらいの雨は、濡れたまま歩きました。
傘が濡れるからです。
もう少したくさん雨が降ると雨宿りして、雨がやむまで待ちました。
傘が濡れるからです。
急ぐときは、しっかり抱いて、走っていきました。
傘が濡れるからです。
雨が止まない時は「ちょっと失礼、そこまで入れてください。」と、知らない人の傘に入りました。
傘が濡れるからです。
もっともっと大ぶりの日はどこへも出かけないで、うちの中にいました。
そして、ひどい風で傘がひっくり返った人を見て、「ああよかった。大事な傘が、壊れたかもしれない。」と言いました。
ある日、おじさんは、公園で休んでいました。
公園で休む時、傘の上に手を乗っけておじさんはうっとりします。
それから、傘が汚れていないか、きっちりたたんであるか、調べます。
そして、安心して、またうっとりしました。
そのうちに、雨が少し降ってきました。
小さな男の子が、雨宿りに走ってきました。
そして、おじさんの立派な傘を見て、「おじさん、あっちに行くんなら一緒に入れてってよ。」と言いました。
「おっほん。」と、おじさんは言って、少し上の方を見て、聞こえなかったことにしました。
「あらマー君、傘がないの、一緒に帰りましょう。」小さな男の子の友達の、小さな女の子が来て、言いました。
「雨が降ったらポンポロロン
雨が降ったらピッチャンチャン。」
二人は、大きな声で歌いながら、雨の中を帰っていきました。
「雨が降ったらポンポロロン
雨が降ったらピッチャンチャン。」
小さな男の子と小さな女の子が遠くに行っても、声が聞こえました。
雨が降ったらポンポロロン
雨が降ったらピッチャンチャン
おじさんもつられて、声を出して言いました。
「雨が降ったらポンポロロン
雨が降ったらピッチャンチャン。」
おじさんは、立ち上がって言いました。
「ホントかなあ」
とうとうおじさんは、傘を開いてしまいました。
「雨が降ったらポンポロロン・・・・・・。」
そう言いながら、おじさんと傘は雨の中に入ってしまいました。
おじさんの立派な傘に、雨が当たって、ポンポロロンと、音がしました。
「ホントだホントだ、雨が降ったらポンポロロンだあ。」
おじさんは、すっかり嬉しくなってしまいました。
小さな犬がぐしょ濡れになった体を、ブルンブルンと振りました。
おじさんも傘をくるくる回しました。
雨の滴がピュルピュルと飛びました。
おじさんは街の方へ歩いていきました。
いろんな人が、長靴を履いて歩いていました。
下の方で、ピッチャンチャンと、音がしました。
「ホントだホントだ、雨が降ったらピッチャンチャンだあー。」
おじさんは、どんどん歩いていきました。
雨が降ったらポンポロロン
雨が降ったらピッチャンチャン
上からも下からも楽しい音がしました。
おじさんは元気よくうちに帰りました。
うちに入ってから、おじさんは静かに傘を窄めました。
「ぐっしょり濡れた傘もいいもんだなあ。第一傘らしいじゃないか。」
立派な傘は、立派に濡れていました。
おじさんはうっとりしました。
奥さんがびっくりして、「あら、傘を差したんですか、雨が降っているのに。」と言いました。
おじさんはお茶とタバコを飲んで、時々濡れた傘を見にいきました。


↑ここまで
思わず、雨が降ったら口ずさんでしまいそうなリズムかるな言葉が印象的な絵本です。 また、おじさんなど、おじさんの表情にもぜひ注目をしてほしいです。 おじさんが立派な傘を見るときの顔、子供に一緒に傘を使わせて欲しいと頼まれたときのとぼけ顔 傘を差した群衆の一員となった自分の気持ちの変化に少し恥ずかしそうなおじさん、びしょびしょに濡れた傘を見て満足げな顔をするおじさん。表情が豊かで思わずクスリと笑ってしまいそうになります。

監修者(絵本アドバイザーいぶき)「おじさんのかさ」の見どころ解説

青を基調とされたこちらの絵本、自分の立派な傘を誇らしげにしている、少し変わったおじさん。
どうしてもこのおじさんに自己愛(ナルシズム)を感じずにはいられません。(笑)
そんな、頑なに雨に濡らさないでおこうとするおじさんの心に魔法の言葉のような声が聞こえてきます。
雨が降ったらポンポロロン
雨が降ったらピッチャンチャン
読んでいる私たちも思わず口ずさんでしまう、不思議な言葉。
雨が降って憂鬱だなと思った時も、この言葉を口ずさむと思わず傘を振り回して、長靴で水たまりを歩きたい そんな気持ちになります。
おじさんの心境の変化によって変わる表情にも注目です。お子さんと読んでいる時は、おじさんはこの時 どんな気持ちだったのかな?と話ながらお話を進めてもいいでしょう。
自分には理解し難い行動を起こす少し変わったおじさんの気持ちを考えてみることで、共感性を育てるきっかけになるかも しれませんね。

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いぶきのプロフィール
絵本紹介士

絵本は心の処方箋。あなたの心にも幸せが息吹きますように。絵本紹介士の【いぶき】です。子供の頃、母親にたくさんの絵本を読んでもらい、絵本を好きになり、自分の娘にたくさんの絵本を読んであげることで、絵本への理解が深まりました。
年間100冊以上の絵本を読むなかで、大人にこそ読んで欲しい絵本が多くあることに気づき、少しでもたくさんの人に知ってもらいたいとの思いでサイトを、スタートしました。
大人になってから心理学を学び始め、認定心理士を取得しました。その学びがこのサイトにも役立てばいいなと思っています。
誰かの心が「ふっと」軽くなるような、そんなお手伝いができたら嬉しいです。

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