「橋の上で」
作:湯本 香樹実
絵:酒井 駒子
合計点:12.72(2023年7月現在)
ehonnavi
amazon
楽天books
出版社:河出書房新社 1,650円
ISBN9784309292083
「橋の上で」の注目ポイント
- 「くまとやまねこ」の二人が再びタッグを組んだ作品
- 『夏の庭ーThe Friends-』で多くの賞を取った湯本香樹実の作品
- 命(いのち)をテーマにした作品
「橋の上で」はこんな人にオススメ
- 今、眠れないでいる人。
- 目の前に少し辛いなという現実がある人。
- 最近元気がない人へのプレゼントに最適。
「橋の上で」のあらすじ
【本文引用】橋の上で川を見ていた夕方、雪柄のセーターを着たおじさんがいつのまにか、ぼくの隣に立っていた。
どこからやってきんたんだろう。セーターは古くて毛糸が硬そうで、何年も何十年も、脱いだことがないみたいに見えた。
川が好き?おじさんが僕にそう聞いた。灰色のサラサラした石みたいな声で。
別に、見てただけ。
じゃあ、橋が好きなの?
別に、ただいるだけ。
本当は考えてた。今ここから川に飛び込んだら、どうなるだろうって。
【本文引用ここまで】
誤解やいじめで心沈む少年の隣に突然現れたおじさん。
おじさんは、「耳をぎゅうっとふさいでごらん」という。
すると、きみだけの湖が見えると言う。その水は暗い地底の水路をとおって、きみのもとへやってくる。
そしてその水がきみのからだをめぐるんだ、と。
おじさんが去った後、耳をぎゅうっと塞いでみると、川の音がさっきより大きくなった気がして、急いで家に帰った。
やがて、時がたち、僕はその橋のことすら思い出さないようになっていた。
少し大人になり、僕は時々耳を塞いで、地底の音を聞くことがある。
すると、微かな煌めきが見えてくる。
水辺には数え切れないほどのたくさんの人たちがいる。その中には友達や、大事な人など。
あの時もし川に飛び込んでいたら、会えなかった人ばかり。
そして僕は眠りにつく。
この本は今が少ししんどいなと感じている人にぜひ読んでほしい1冊です。
永遠に続くように思われる暗闇も必ず明けると信じて。
この本が僕に取っての雪がらのセータのおじさんのような存在に慣れればと願っています。
監修者(絵本アドバイザーいぶき)「橋の上で」の見どころ解説
誰でも、この辛い状況がいつ終わるのかわからず、心が悲鳴をあげる時がある。今の辛さからとりあえず逃げ出すために、自らの命をたつことも選ぶ人も。
毎年2万人以上の人が、そのような選択を選んでしまう今の時代、少しでも多くの人にこの絵本が届けばいいなと思います。
ずーっとモノトーンで描かれている僕の世界が、大人になりあの日おじさんが教えてくれたように耳を塞いで地底の水の音を聞く時、 見える世界は鮮やかな色で描かれ、生の喜びを感じるような世界が広がっています。
もし、あの時川に飛び込んでいたら、出会えなかった人たち。
もし、あの時川に飛び込んでいたら、見ることのできなかった景色や未来。
心が沈んでしまった時には、ぜひこの本を手に取ってもらいたいなと思います。