「つみきのいえ」
作・平田研也
絵・ 加藤久仁生
合計点:13.71(2022年6月現在)
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出版社:白泉社 1,540円
ISBN9784592761310
「つみきのいえ」の注目ポイント
- 国内外13の映画祭・映画賞で20冠を獲得した短編アニメの原作本
- 2009年度・米アカデミー短編アニメ賞受賞作品
- 2008年に発表された12分の短編アニメーションを絵本化
「つみきのいえ」はこんな人にオススメ
- 人生の積み重ねが素敵だと思える人。
- 短編アニメ「つみきのいえ」が好きな人。
- 家族との生活を大切にしている人。
「つみきのいえ」のあらすじ
【本文引用】一人のおじいいさんが、海の上にある、変わった家に住んでいました
どうしてこんな家に住んでいるのでしょう?
この街は海の水がだんだん上に上がってきてしまうのです
水が上に上がってきて、住んでいた宇が水の中に沈んでしまうと、その家の上に新しい家を作ります。
その家がまた水の中に沈んでしまうと、その上にまた新しい家を作ります。
こうして、まるで積み木を何個も何個も積み上げたようなこんな家ができてしまったのです。
さて、3年前に奥さが亡くなってからこの家でおじいさんは一人で住んでいます。
足りないものは近くを通る船の行商人から買うから不自由はありません。
おじいさんは、その家でご飯を作ったり、チェスをしたり余生を過ごしていました。
そんなあり年の冬のこと、また海の水が床まで上がってきたので、またおじいさんは新しい家を作る必要が
あります。昔はたくさんの人が住んでいたこの街も、家を作り続けるのをやめて引っ越して行ってしまいました。
でも、おじいさんはこの家に住み続けています。
ところが、ある日のこと、おじいさんは家を作るための大事な道具を落としてしまいます。
おじいさんは、その道具を取りに行くことにしました。
1つ潜ると、お婆さんと一緒に暮らした家が、もっと、潜りたくなったおじいさんは、下へ下へと潜って行きます。
カーニバルがあった賑やかな楽しい思い出が詰まった家。大切な娘が嫁いだ時に住んでいた家。
大切にしていた飼い猫がいなくなった時の家。おじいさんとおばあさんに最初に子供が産まれたときに住んでいた家。
などなど、どの家もたくさんの思い出が詰まった家です。
そして、とうとう一番最初に建てた家にまでたどり着きました。この家はおじいさんとおばあさんが結婚した時に
初めて建てた家でした。
その、最初の家の上に新しい家を作り、またその上に家を作り、そうやっておじいさんはずっとそこに住み続けていたのです。 春になりました。おじいさんの新しい家ができました。壁の割れ目にたんぽぽが一つ咲いていました。
おじいさんはそれを見て嬉しそうに笑いました。
【本文ここまで】
つみきの家はおじいさんの人生そのもの。つみきの家を積み上げることと、お爺さんが生きた時間が積み重なっていきます。 それを振り返ることで、お婆さんを亡くし余生をただぼんやりと過ごしていたおじいさんの気持ちに、ほんの少しの明かりが 灯ったような気がして、読んでいる私たちも心が温かくなります。こちらの絵本は短編映画を絵本化したもので、短編映画も素晴らしいので、ぜひどちらも手にとって見て欲しい作品です。
監修者(絵本アドバイザーいぶき)「つみきのいえ」の見どころ解説
この「つみきのいえ」という絵本、実は12分間の短編アニメーション映画として作られた物語を絵本化したものとなります。海の水が上に上がってきてしまう街に住むお爺さん。他のみんなはこの街を去って行きますが、お爺さんは、海の水が上がるその度に上へ上へと家を建て、そこに住み続けていました。ある日お爺さんが、物を落としたのをきっかけに、自分の人生を物理的に振り返り記憶を辿っていく物語です。 一見不格好に見える人生でも、そこには色々な幸せが詰まっていて、色々な人の人生を肯定してくれるよな物語。 思わずジーンとしてしまう、本当に素敵な絵本です。 映画とは少し物語が違う部分もあるので、気になった人は短編映画もぜひチェックしてみてください。